Kawasaki w175 納車 下道430km 電車で行って乗って帰った

2022年7月10日日曜日

オートバイ ツーリング 納車

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kawasaki w175 を石川県のバイク屋「きゃぷてん」で購入し、東京まで乗って帰った時の話。

Kawasaki W175

バイクに乗るきっかけ

16歳から夜な夜な街や峠を走り回り、峠の仲間とレースをはじめ、良い成績を収め海外で走れることになり自分なりには充実したレース生活を送った。20代中盤で引退。その後バイクは遠のいていた。

娘が中型免許を取ってバイクに乗ると言うので一緒にバイクを探して、見つけたのがインドネシア Kawasakiのw175。これは気軽で初心者にもよさそうだ。調べていると自分が欲しくなってしまった。娘が免許とってすぐは、これに乗って慣れればいいだろう。(その後娘はルネッサ250を購入する。)職場でも「バイク乗ろうよ」と誘われていたのでちょうどよい。若い頃に味わったスピードの楽しさとは違う、のんびり走る楽しさを味わいたいと思った。

Kawasaki W175 というバイク

いざw175を買おうと思っても簡単ではなかった。メーカーはKawasakiでもインドネシアKwasakiだ。輸入車扱いになる。インドネシアで開発されたバイク。国内で取り扱っているバイク屋は結構あるが、台数が少ない。

中古のバイク屋をやっている仲間に相談すると、白いカラーのw175STDは新車が国内で3台。北海道と名古屋と石川に一台ずつ。他のカラーは八王子等近くにもあるが値段も高い。どうせなら欲しい色がいいと、仲間のバイク屋に業販で取り寄せてもらう。しかし断られる。業販はやらないようだ。それなら個人で買うしかないと名古屋のバイク屋に電話する「契約と納車で二回来てもらう」と言われた。石川のバイク屋「きゃぷてん」に電話する。快く売ってくれた。手続きは電話と郵送でおこなう。無事にナンバーを取ってもらえた。

問題のバイク本体は陸送を頼むと2万から3万ほどかかる。電車で取りに行って乗って帰ってきても同じくらいだ。石川から東京までせいぜい430㎞。「せっかくだ、旅感があって楽しいし思い出になる」と電車で取りに行くことにした。

石川県のバイク屋「きゃぷてん」へ

当日、仕事の現場最寄りの駅、高麗川駅から八高線で高崎駅へ。高崎駅から新幹線で石川駅へ。石川駅から在来線で宝達駅へ。電車旅は良い。景色を見ながら遠くへ。

宝達駅に着いてバイク屋きゃぷてんに連絡をすると、奥様が迎えに来てくれた。無事にバイク屋きゃぷてんに着く。w175が店の前に用意されていた。かわいい。ピカピカのw175。思ったとおりの感じ。ひととおりの説明を受けた。時間も遅くゆっくりしてられないのですぐ走り出す。いざ東京へ。当然道がわからないのでスマホのナビを見ながら帰りたい。あらかじめスマホホルダーを購入しておいたので装着してから出発。35年ぶりのバイクで多少緊張感はあるが体が覚えている。自然と走り出す。

Kawasaki W175

下道430㎞の道のり

430㎞になるといろんな道がある。グーグルマップに任せるしかない。ルートとしてグーグルマップが選んだのは、飛騨高山を抜けて上高地へ行き、諏訪湖方面に抜け、そこからは甲府を通り八王子へというルート。これで行こう。不安だったのが、峠道が多いこと。ガソリンスタンドやコンビニはあるか?

もう辺りは暗くなっている。きゃぷてん付近は田んぼが多いので虫がすごい。乗り味とかの前に第一声は虫だ。シールドに虫がびっしり。すこし大きめのカゲロウだ。シールドを閉めて走る。乗り味は思った通り軽い。ひらりひらりと軽快だ。乗っていて気持ちよい。

暗い峠道を進む。ガソリンスタンドもコンビニもない。ガソリンが心配だった。あらかじめガソリンスタンドの場所を検索しておくんだった。と不安でモヤモヤする。しばらく走ると高山あたりでガソリンスタンドがあった。良かった。ホッとする。しかしここを逃したらこの先ずっとなかったので運が良い。目の前はすき屋。コンビニもある。夕食を食べてコンビニでコーヒーを飲む。しかし寒い。

まだまだ先は長いが、久しぶりのオートバイで楽しい。「慣らし」なのでゆっくり丁寧に走る。ひたすら走る。グーグルマップが最適に選んだ道はずっと峠道。「もっと都市部を走ればよかったか?」と思ったが、峠道なので信号もほとんどなく、のんびり走れて疲れないかも。逆に良かったかもしれない。

上高地手前、安房峠に入ろうとすると工事通行止め。しかたなく有料のトンネルを使う。真っ暗の中雨が降ってきたので怖い。トンネルを抜け有料を降りると上高地のゲートに着いた。見慣れた場所で安心する。ここで雨が強くなったので沢渡駐車場で雨宿り。月が出ているのですぐやむだろう。急ぐ旅でもない。

雨も弱くなり、下っていく。コンビニがあった。久々の街灯と町の明かり。カフェラテを飲んで温まる。

休憩を終え走る。

長時間のライドはハイになる?

長い時間走っているとハイになるのというのか、不思議な感覚になる。

登山でもサイクリングでもそうだが、「長い距離」「長い時間」というのは楽しさとか充実さに大きくかかわる気がする。うまく説明できないが、ある程度を超えるとハイになるというが、それに近いのか。達成感とは成し遂げた後の喜びみたいな感じだと思うが、それとはまた違う。マインドフルネスに近いのか。登山でも延々と長時間歩く事が瞑想状態に近くなるのか。そこに冒険的な解放感や目から入る美しい自然、風の感触等々合わさって、なんとも言えない幸福感が出てくる。オートバイのツーリングも長い距離と時間は疲れるが、幸福感は大きくなる感じがした。それは疲れからくるものだけではない。

登山でも、「登るのは辛いけど山頂の景色を見る為に頑張る」とか「日頃の運動不足解消」という言葉をよく耳にする。景色や達成感の為では登りが辛いはずだ。それもその人の感覚なのでそれでよいのだと思う。しかし実にもったいない。登山やサイクリングはその「向こう側」があるように思う。もっと内側の、精神的な喜びを味わえる趣味だと思う。登山やサならば歩く一歩一歩を喜ぶ、サイクリングでは漕いで進む感覚を楽しむ、ツーリングでもエンジンの鼓動を楽しむとか……。これはあくまで私の感覚。その他楽しみ方は皆それぞれかな。

ついに東京へ

次に覚えているのは諏訪湖付近。だいぶ近づいてきた。大通りじゃなく峠道で走ってきてよかったと思う。大通りならもっと疲れていたはずだ。信号待ち。トレーラー。危険もいっぱいだ。峠道ならゆっくる気楽に走れる。

暗い中ただ走る。

山梨の白州辺りまで来た。眠い。自動販売機の前で寄りかかって少し寝ようかと考えた。昔、大垂水峠を夜中走っていたころ、帰り道、歩道で寝ていたら「大丈夫ですか」と優しいお兄さんに声をかけられたのを思い出した。また車が止まって声をかけられそうだな。休むならちゃんとしたところにしよう。

甲府あたりで明るくなった。あとは大垂水峠を越えて八王子へ。大垂水峠は車でよく通るがバイクで走るのは35年ぶり。懐かしい感覚はあるが、スピードが違いすぎる。「よくもまああんなスピードで走っていたものだ」と思い出して笑ってしまう。路面もまだ濡れているのでゆっくり慎重に走る。

無事に家に着いた。11時間かかった。電車旅を合わせるとすごく濃厚な旅だった。納車は電車で行くのが楽しい。おすすめしたい。

Kawasaki W175

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建設業50代 元オートバイレーサー 1994年全日本ロードレース選手権125ccチャンピオン

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