今回サイクリングするのは、「ながの観光NET」のサイクリングモデルコースで紹介されてる中級2「鬼無里・戸隠コース」だ。長野県の鬼無里の湯をスタートして、大望峠(標高1,055m)からの眺望が楽しめる獲得標高1,000m越えのヒルクライムコース45.8㎞。
サイクリングモデルコースの地図 ながの観光NETから引用 |
鬼無里から戸隠へ
出張先の上越直江津港の宿から車にトレックドマーネを積んでスタート地の鬼無里の湯へ。鬼無里の湯は長閑な里の風景の中にある公営国民宿舎の温泉だ。朝早くに着いたのでまだオープンしていなかった。敷地の雑草を刈っているおじいさんが3人いた。端に車を止めると「小石が飛ぶからあっちに止めてくれ」と言われて止めなおす。自分の他に3台車があったのでこのおじいさん達のだろう。すべてBMWやベンツなどの高級車だった。観光地として栄えている訳でもない国民宿舎の雑草刈をしている普通のおじいさんがピカピカの高級車で来ているのだ。不思議な世界に来たようだった。そういえばここに来るまでも農家の庭先に高級外車が止まっていて不自然な感じはした。人の趣味だからどうでもいいのだが、自分は高級車とか外車とかに興味が全く無い。お金が余っていても乗らないだろう。そうだな、お金が余っていたら、コースターのようなマイクロバスをキャンピング仕様にしてあちこち行くだろうな。なので自分とは全く違うセンスに戸惑い、違和感と言うか不自然な気がしたのかもしれない。
車から自転車を下ろし戸隠方面にスタートする。はじめからのんびりとした里の風景の中を軽く下っていく。最高すぎる。この道は逆に行くと18㎞ほどで白馬駅。そちらから自転車で来る人もいる。長野一周Japan Alps Cycling Rordともかぶっているコースのようだ。ちょっと良い小川があったので寄り道して見に行った。その時も3人ほどロードバイクでその道を戸隠方面に走って行くのを見た。時たまJapan Alpsの看板を目にした。
トンネルをいくつか超えると「旅の駅 鬼無里」に着いた。道の駅のようなドライブインで十割蕎麦もあった。この時点では戸隠蕎麦のすごさをしらなかったので帰りにここで食べようと思っていた。
旅の駅鬼無里の十割蕎麦 |
少し行くと「鬼無里神社」があったでお参りをした。鬼滅の刃の禰豆子(ねずこ)ちゃんのような可愛らしい看板がある。
鬼無里神社と鬼女紅葉の看板 |
引用「鬼無里に住む鬼たちは、それを邪魔するために一夜で山を築いてしまいました。怒った天武天皇が鬼たちを退治したので、水無瀬という地名が鬼のいない里『鬼無里』になったという伝説が残っています。」引用終わり。
鬼無里神社を出て少し行くと登りがはじまる。途中、手で田植えをしている若い子達がいた。農業体験なのかな。
この辺りはまだそれほどきつい登りではない。のんびり風景を楽しんで登る。
ここで気が付いた。この先自動販売機が無さそうだ。旅の駅辺りで余分に買っておけば良かった。水を節約しなければ。
程よい負荷がかかる登りを行く。この辺りは風景と登りを楽しめる。だがこの先どのくらいの登りが待ち構えているか知らないので不安もある。「峠」と言うバス停があった。もう少しで登りも終わりかと思ってコースマップを見ると大望峠まではまだまだ登るようだ。という事は、ここが違う峠なのだろう。すると峠を越えると下りがあって、そこから大望峠までまた登るのだろうかと少々ビビる。
「峠」のバス停を過ぎても下りは来ず、登りがだんだんキツくなってきた。「十二神社」があった。良い雰囲気の神社だ。お参りをして進む。
十二神社の鳥居 |
十二神社を過ぎると登りがきつくなる。それでも足をつくほどでない。一番軽いギヤで座って漕げる。平均勾配5%。程よい斜度と距離だ。
大望峠
大望峠に着く。とても展望の良い峠。北アルプスや西岳が見える。この時は北アルプスの頂上付近に雲がかかっていたが、それでもかなりの眺望。東屋があったのでそこでアルコールストーブを出してコーヒーを淹れて飲む。10台くらいのバイクのグループが来た。駐車場に入れず道路際に全員が止めた。展望の良い駐車場に全部入れてしまうと他の人の迷惑になってしまうからなのだろう。ベテランでセンスのある頭の良い人たちだと思った。大きな声で騒ぐわけでもない。とてもかっこよく見えた。登山でも山頂の看板付近で陣取りカップラーメン等食べてくつろいでいる人や、大きな声で騒いでいる人をたまに見かけるが、とてもかっこ悪い。初心者だと一目瞭然だ。ベテランやセンスがあり物事をわかっている人は、登山者が多い場合、山頂看板や景色を見る場所では食べたりくつろぐ事はしない。人の事を考えれるのだ。少し降りた場所や景色を眺めるのに良い場所を空けるのだ。確かに登頂して良い景色で舞い上がるのはわかるし気持ちが良いものだ。しかし同じように他の登山者も素晴らしい景色を見て看板で写真を撮りたい。そこで写真に写りこんでしまうような場所に平気で陣取りお弁当を広げるのは頭が良いとは言えない。しかしそんな愚痴を書いている自分はまだまだ初心者なのだろ。ほんとうのベテラン登山者はどんなことでも受け入れて平然とその時を楽しむのだろう。他者を認める。登山に限らず全てに言えることだと思うが。
大望峠からの景色 奥が北アルプス |
大望峠から見た西岳連峰 |
西岳連峰の案内看板 |
東屋でコーヒーを淹れる |
戸隠神社へ
そこから戸隠神社までは一度下りまた登る。結構下るので帰りが怖い。でもいつもそう思うが意外に大した事は無いことが多い。下りを楽しむほうがいい。途中工事の為片側通行になっている信号箇所がいくつかあった。登りの片側通行の信号は自転車にとってプレッシャーだ。信号が変わるまでにその区間を登らないとと思ってしまう。信号がかわりエライ勢いで下ってこられると怖いのだ。幸い車通りもほとんど無いので大丈夫そうだが。奥多摩周遊道路を登っているときは信号ではなく警備員さんだったので、無線で「今自転車が登ってます」みたいなやり取りをしていて、上で車を待たせてくれていた。「お疲れ様」と笑顔で声をかけてくれたが、やぱりきつい登りではゆっくりなので気まずい。
下りって上り返すと「よつかど」に出る。お蕎麦屋さんがあり、ここも評判がいい。やっとここで自動販売機があって救われた。まだ気温も高くないので何とかもった。水を買ってアルプスの天然水のペットボトルに入れ替える。アル天のペットボトルはキャップが浅く、一回りくらいで開いてくれるので使いやすいのだ。小さなことだがとても重要だ。
ここから戸隠神社中社までがまたきつい登り。でも一番軽いギヤで登っていける。有名観光地のど真ん中の為、車も多い。登りが急なので車もアクセルをかなり開ける。「ブオー」と横を抜けていく。必要以上に踏んでいく車を見ると頭が悪いなと思ってしまが、必要十分なアクセルで走っている車はセンスが良いなと思う。自分は車でもゆっくり走るほうだが、8割9割の人は無駄にスピードを出していると思う。センスの違いなので仕方ないが、皆飛ばしすぎだと思う。時間はたいして変わらないんだからのんびりゆっくり走ろうよ。
戸隠神社でお参り
戸隠神社 宝光社、火之御子社を過ぎて中社に着いた。けっこう登りがきつかった。今日はこの先には行かない。ここで折り返すのだ。達成感と安堵が大きい。
とても大きな立派な神社だ。入口に祭られているご神木もかなりの大きさ。ここはすごい。周りには戸隠蕎麦のお店がたくさんある。戸隠神社の事はあまり知らなく、後でいろいろ勉強したのだが、かなり有名な神社だった。
探せばサイクルラックもあるかもしれないが、ちょっと疲れたので手ごろな路地裏に自転車をロックして止めた。
神社はとても美しい。人も多い。参拝して社務所に寄ると小さくかわいいお守りがあったので、家族と自分のを四つ買った。お守りの繊細な感じが好きなので集めているのだ。思い出にもなるし。
戸隠神社 中社の御神木 |
戸隠神社 中社 |
戸隠蕎麦を食べないという暴挙
この時点で戸隠蕎麦のすごさを知らない自分は、先ほどの鬼無里の十割蕎麦を食べるために戸隠にいながら戸隠蕎麦を食べないで鬼無里に戻るという暴挙に出る。戸隠蕎麦を知っている人なら考えられない事だ。知らないと言うのは本当に怖い。「戸隠はいずれ来るからその時でいいか」と。「鬼無里は当分来ないから鬼無里で食べよう」と。
来た道を折り返す。途中、火之御子社に参拝。ここは人も少なく静かで素敵な場所だ。
戸隠神社 火之御子社 |
戸隠神社 火之御子社入口 |
「よつかど」を右へ。下り終えて登る。
案の定、たいした登りではなかった。片側通行の信号も車は来ず無事に通過。大望峠に着く。今度は北アルプスの雲も晴れてさっきより展望がいい。しばしボーっと休憩。40代くらいの女性バイクライダーが二人来た。トライアンフのカッコいいネイキッド。楽しそうにバイクの話をしている。
大望峠から見た北アルプス |
そして下る。下りは早い。
旅の駅「鬼無里」に着き、蕎麦屋に入ると、「終わっちゃたんです」と。14時5分だった。「急いで食べるので無理ですか?」と一応聞いてみる。「窯を閉めてしまったんで…」と言われあきらめる。
残念過ぎる。仕方ない。途中仕事の電話で止まって10分くらい話してしまって、それがなければなあ…とか考えながらもんもんとしながら鬼無里の湯へ向かう。ゴープロも充電が切れモバイルバッテリーに繋ぐが電源が入らない。ついに壊れたのかと思って落ち込んだ。雪山だの猛暑だのずいぶん使っているので「ついにか」と思った。しばらくいじってリセットすると無事に電源が入った。良かった。録画を再開しつつ、行きにも味わった素敵な里の道を行くとすぐに気分も戻った。
戸隠蕎麦を食べに戸隠へ戻る
考えてみれば帰りに来るまで戸隠へ行きお蕎麦を食べれるじゃないか。鬼無里の湯に着き車にトレックを積んで、今度は自転車で下ってきた戸隠までの道をお蕎麦を食べるために車で戻る。
車だと20分か30分くらいで戸隠まで戻れた。評判の良いところに行ってみたが閉まっていた。この時間になるとほとんど戸隠蕎麦も閉まっている。評判がいいところで「山口屋」がやっていた。もう閉店の準備っぽかったが、入れてくれた。人生初の戸隠蕎麦。大盛のざる蕎麦を頼んだ。店を見渡すと、もうお客さんは居ない。ぎりぎりだったのかもしれない。窓からも景色が見えて良い。
戸隠蕎麦がきた。食べてみる。「めちゃくちゃ美味しい!!!」なんだこれは。今まで食べた蕎麦の概念がまた覆された。香り、歯ざわり、のど越し、味、完璧だ(これを書いている今もまた食べたい)。戸隠蕎麦ってこんなに美味しいんだ。鬼無里の十割蕎麦も美味しかったのかもしれないが、これを食べないで戸隠を後にするところだった。知らないって怖い。
戸隠蕎麦 山口屋のざるそば大盛 |
大満足だった。帰り道に余韻が後を引きまた食べたくなった。「また来よう」と思った。
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